Auth0を活用して拡大を続けるNHS Leadership Academy
イギリス全土で200を超える医療機関のアイデンティティを統合

レガシープラットフォームからの脱却
NHS Leadership Academyの初代プラットフォームは、Ruby on Railsフレームワークを使って構築されており、その他の機能についてはサードパーティのeラーニングプラットフォームやCRMプラットフォームから導入していました。しかし、シングルサインオン(SSO)は実装されていませんでした。Vardhan氏はその理由を、他のアプリケーションとの連携が難しかったためだと説明します。
「老朽化が進むにつれて、SSOの保守はますます困難になっていきました。また、業界標準の認証・認可規格にも準拠していませんでした。NHS Leadership Academyを構成する膨大な数のアプリケーションやWebサイトとの連携にも苦労していました」と同氏は語ります。
これは深刻な問題でした。イングランドとウェールズでは、NHSは200を超える「トラスト(医療機関)」によって構成されています。これらの組織は、それぞれの地域で医療サービスの提供を担っており、利用するテクノロジーについても高い自主性を持っています。
「NHSトラストはそれぞれ異なっており、レガシーテクノロジーが多く利用されています」と同氏は説明します。
NHS Leadership Academyはプラットフォーム刷新にあたって、広く利用されているLaravelフレームワークを採用しました。Academyで使用されている他のフレームワークの多くがPHPで開発されていたため、中核となるアプリケーションにもPHPフレームワークを採用するのが合理的だったからです。
Laravelは、Microsoft Active Directory(AD)との互換性をはじめとして、高度な認証機能を備えています。そこにAuth0 Platformを組み合わせることで、長期的なスケーラビリティを確保するとともに、開発者の効率性も向上させることができました。
「今では、製品を継続的に改善できるようになりました。私たちのチームは、コアとなる製品やサービスの開発に時間とエネルギーを集中させることができます。アイデンティティについて心配する必要はありません」
- Digital Delivery Lead, Ishani Vardhan
開発サイクルの高速化と保守負担の軽減
公共部門の組織であるNHSでは、セキュリティ、費用対効果、既存ツールとの互換性を確保するため、あらゆる調達案件について厳格な審査が行われます。そのため最も簡単な方法は、常に事前承認済みの製品を選択することです。こうした制約がある中でも、NHS Leadership Academyは、新たなアイデンティティプロバイダーとしてAuth0を導入するための十分な事業計画を示すことができました。
「正式な稟議書を作成しなければいけません。これは適切なガバナンスのためのプロセスですが、時間がかかります。私たちは、製品をどのように活用するのかを示すユーザーストーリーや費用対効果分析を作成し、あらゆるコストを詳細に検討しました。本当に大変な作業でした」とVardhan氏は語ります。
Auth0の調達承認を得るまでに5か月を要しましたが、その時間をかけるだけの価値がありました。導入後の数年間で、NHS Leadership Academyのチームはすでに目に見える成果を実感しています。保守作業に費やす時間を減らして、コアとなる製品の改善に充てる時間を増やすことができたのです。
「認証機能をIDaaSプラットフォームに任せたいと考えていました。アイデンティティは複雑であり、私たちが日常的に取り組む領域ではありません。Auth0には、私たちが必要としていた機能やツール、そしてセキュリティ面での保証がすべて備わっていました」とVardhan氏は述べています。
「今では、製品を継続的に改善できるようになりました。私たちのチームは、コアとなる製品やサービスの開発に時間とエネルギーを集中させることができます。アイデンティティについて心配する必要はありません」と同氏は付け加えました。
サポート問い合わせの削減と開発者体験の向上
Auth0の導入によって、NHS Leadership Academyのチームは初日から開発スケジュールを加速させ、高度な認証システムを実装できるようになりました。
「Auth0を使えば認証の処理が非常に簡単になります。APIはよく設計されており、私たちが利用しているあらゆるフレームワーク向けのライブラリも用意されています。開発者にとって本当に使いやすいプラットフォームです」とVardhan氏は言います。
「Auth0の導入は、当団体のDevOpsエンジニアからも非常に好評でした。コア製品への新しいアプリの統合や独自の認証フロー構築、ブランディング設定、さらには旧プラットフォームからのアカウント移行まで、すべてがスムーズに進んだからです。導入後はアクセスに関する問い合わせも徐々に減り、パスワードリセットに要する時間も短縮されました。現在では、エンドユーザー自身が必要な操作を行えるようになっています」と同氏は語ります。
NHS Leadership Academyは、Auth0の高度な機能もいくつか活用しています。たとえば、ユーザーがITサポートに問い合わせることなく自分でアカウントを管理できるセルフサービス機能を導入しました。また、セキュリティ強化の一環として、パスワード漏洩の検知機能も導入しています。この機能は、ユーザーのパスワードがオンライン上の情報漏洩データで検出された場合に警告を発します。
今後、NHS Leadership Academyのチームはパスワードレス認証の導入も視野に入れています。ただし、これは長期的な目標と位置づけています。
「私たちは、人々が新しい働き方を見いだせるよう、組織文化の変革についても検討を進めています。最初はゆっくりかもしれませんが、着実に前進していけると信じています」とVardhan氏は語っています。


