小売業は以前にも増して複雑になっています。顧客は、あらゆるデバイスで、複数のプラットフォームにわたってどこででもあらゆるブランドの商品を見て回ります。小売業者にとって大混乱というだけでは不十分であるかのように、デジタル時代は、ソーシャルメディアでの販売や、オンラインで購入した商品の店舗での受け取りなど、これまでになかったまったく新しいモデルが取り入れられました。
消費者にとってこれだけの選択肢があり、自由度が非常に高い小売業界では、対象となる顧客を再現することは簡単ではありません。そして、店舗内の販売担当者、マーチャンダイジング担当者、マーケティング担当者、デジタルコンテンツ制作者、ソーシャルメディア管理者の間には、その情報を必要とし、その情報から恩恵を受けることができる人が多数います。
しかし、営業からデジタルエクスペリエンスの合理化まで、あらゆることに関して単一の顧客像が必要とされています。つまり、顧客を追跡して情報を一元化し、社内でデータを移動して単一の顧客像を手に入れられる強力なシステムです。
この基盤となるのは、ID 管理システムです。ここでは、CIAM がクロスチャネル小売戦略を推進する主要な方法を 3 個紹介します。
必須項目 1:一元化された ID 管理
単一の顧客像は、単一のデジタル ID から始まり、各顧客の情報は 1 つのセントラルプロファイルに保存されます。
これには、あらゆるデバイスからのログインを処理し、顧客に関するファネル情報を直接プロファイルに送ることができる ID 管理システムが必要です。
小売業者の場合、Auth0 はシステム内のすべてのユーザーに対して 1 つのプロファイルを作成します。そして、ログイン、デバイス、履歴に関する情報を保存し、顧客に関する利用可能なその他のデータを一元管理できます。アカウントは逆向きにもリンクできるため、ユーザーが一度 Facebook ログインを使い、次に Google を使った場合でも、そのユーザーの情報は 1 つのプロファイルに戻ってきます。
各ユーザーの決定的な情報源として単一のプロファイルを使用することで、単一の顧客像の基盤を作成します。
このことは、顧客にとって、御社のブランドとのエンゲージメントが一貫性のある経験になるという点で役立ちます。ユーザーが設定した好みや、入力した情報は御社のすべてのチャネルで使用できます。
Auth0 には柔軟なユーザーストアディレクトリモデルが用意されているため、ビジネスに合わせて一元的な ID 管理を拡張できます。このため、御社のディレクトリを安全な Auth0 サーバーでホストできます。御社独自の既存のディレクトリを使用することもできます。Auth0 データベースに移行する場合は、パスワードをリセットしなくても移行できます。小売業者の規模やニーズにかかわらず、必須の一元化された CIAM を実現する方法があります。
必須項目 2:オムニチャネルのカスタマーエクスペリエンス
顧客を独自のデータベースに一元化したら、顧客に「オムニチャネル」エクスペリエンスを提供することに進みます。
基本的に、これは、消費者がエンゲージメントしている場所に関係なく、シームレスなブランドエクスペリエンスを確保できることを意味します。消費者が現在利用できるすべてのチャネルで、どのようにエンゲージメントしていても、同じブランドメッセージ、つまり同じ選択肢を消費者が得ているということが重要です。
CIAM 経由でログインすることで、顧客とブランドとの最初のやり取りを効率化できます。高度な ID 管理システムを使用している場合は、ログイン以外でもブランド化されたやり取りを促進することができます。CIAM を使ってこれを行う方法をいくつか見てみましょう。
あらゆるチャネルですべてのブランドに対してシングルサインオンを有効にする。顧客が使用しているチャネルまたは ID プロバイダに関係なく、ログインが必要とされる場合は常に、迅速で一貫性のあるオプションを用意する必要があります。これには、店舗内での顧客のアカウントへのアアクセスも含まれます。
ソーシャルログインオプションを常にユーザーに提供する。ソーシャルログインの利点は 2 つあります。顧客は新しいユーザー名とパスワードを作成する必要なく、アカウントに簡単にアクセスできます。また、ソーシャルからログアウトすることがほとんどない個人用デバイスであれば、ソーシャルログイン機能をワンクリックで利用できるようになるというメリットもあります。小売業者にとってのメリットは、ソーシャルプロバイダから入手できる追加のデータを活用して、顧客とのつながりを強化できることです。
ユーザープロファイルを会社全体の出発点として使用する。今日の CIAM は、複数のチャネルからの情報を一元化したストアであるため、会社全体の情報源として使用する必要があります。つまり、店舗内の担当者は顧客のプロファイルを表示して顧客を手助けでき、マーケティング担当者は顧客が実際に気に入っている商品の広告を提示できます。
「オムニチャネル」小売業のバックエンドはユニファイドリテールに向かっていますが、消費者はシームレスな「オムニチャネル」エクスペリエンスが今後も継続することを期待しています。
必須項目 3:統合
一元化された顧客データの開発に着手し、チャネルを越えたシームレスなブランドエクスペリエンスを顧客に提供できるようになったら、次のステップとして、構築した基盤をカスタマイズします。これは、確固たる顧客データを構築するために役立ちます。
つまり、ユーザープロファイルに保存したすべてのデータとインサイトを、それらを最も役立てられるシステムと共有することです。もちろん、マーケティングプラットフォームや広告ネットワークとの統合により、より最適なターゲットを絞ったキャンペーンやアプリ内広告を実現したいと考えているかもしれません。
このためには、すぐに利用できるソリューションや、お使いの CIAM の柔軟性を確認しましょう。既存のソフトウェアにプロファイルデータを取り込むと、SaaS ツールの効率化につながります。Auth0 を使用すると、CMS、CRM、e コマース、またはアナリティクスプラットフォームの統合をカスタマイズできます。したがって、御社に最適な CRM や e コマースシステムがどのようなものであっても、データからメリットを得ることができます。
もちろん、お使いのさまざまなプラットフォームを統合する方法だけでなく、プラットフォームで個々に提供されている機能を確認することもできます。ID 管理を最大限に活用できるようにする統合によって、顧客像が明確に定まるようになります。
この好例として、Auth0 の Facebook 統合が挙げられます。Facebook を使用している顧客がいる場合、Facebook Analytics for Auth0 を使用すると、消費傾向や教育などのカテゴリのアナリティクス結果を通じて、それらのユーザーについてもっとよく知ることができます。
この統合により、追加の情報を求めなくても、チャネル間でより優れたパーソナルな体験を簡単にユーザーに提供できるようになります。統合を利用すると、より情報に富んだきめ細かい顧客像を得ることができます。多くの ID プロバイダとビジネスソフトウェアには、これらの便利な機能が追加されているため、ユーザープロファイルの機能がさらに強化されます。また、これらの機能を活用して、今日の小売業に対応していく必要があります。
顧客を理解していれば、顧客とつながることができる
マーケティングから営業、製品まで、顧客を理解することは、ビジネスの構築と維持の重要な要素です。デジタルの世界が消費者にますます多くの可能性を提供するにつれ、パーソナライズされたつながりを築くことが以前にも増して重要になっています。
一元化された顧客データを構築してエンリッチメントすることは、顧客を知るための優れた方法です。この目的を達するために ID 管理を使用すると、御社のビジネスに合わせた、統合済みで柔軟性の高いソリューションが提供されます。心配はいりません。CIAM を最大限に活用して、特に e コマースや小売業界で優位に立つことができます。
補足:Auth0 を使用してアプリケーションをセキュリティ保護する
B2C、B2B、または B2E ツールを構築していますか。そうであれば、Auth0 は御社が最も重要なこと、つまり製品の特徴に焦点を合わせられるように手助けできます。Auth0 は、パスワードレス、パスワード違反の監視、多要素認証などの最新機能により、御社の製品のセキュリティを高めることができます。
Auth0 が提供する豊富な Free Tier を使用して、最新の認証を搭載しましょう。
About the author
Diego Poza
Sr Manager, Developer Advocacy